農林中央金庫の2023年4月1日~2023年9月30日の第2四半期決算について分析します。
まずは、損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。
「経常収益」は増えていますが、各種損益は減っていて、増収・減益です。損益計算書上は、減益とはいえ黒字です。一方、包括利益計算書上の「包括損失」は減ってています。
損益計算書上の損益について経常収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「経常収益」に対する3行目の「経常利益」の比率は以下の通りです。
増収・減益のため、「経常収益」に対する「経常利益」の比率は下落していることが分かります。
次に、「経常収益」に対する4行目の半期純利益の比率を見てみましょう。
この比率も下落しています。
続いて、貸借対照表上の「有価証券」、「その他有価証券評価差額金」、純資産を見てみましょう。
「有価証券」の額が4兆4億円近く増え、「その他有価証券評価差額金」のマイナスも大きくなっている一方、純資産が減っています。
次に純資産に対する包括損失の比率を見てみましょう。包括損益とは、下図にあるように、期首と期末の純資産の増減額です。
そこで、包括損益については、売上高に対する比率ではなく、純資産に対する比率を計算します。
「包括損失」の比率なので、カッコを付けています。純資産が減る一方で、包括損失も減っているため、比率は大きく下落しています。
次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。次の表は、各活動によるキャッシュフローの組合せと企業の状況を表しています。
農林中央金庫の各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。
前期は、営業活動によるキャッシュフローの赤字と財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済を、投資活動によるキャッシュフローの黒字、つまり、投資資産の売却による資金で埋めています。足りない分は、「現金及び現金同等物」の残高によって埋めています。
当期は、営業活動によるキャッシュフローの黒字では、投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大と財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済には足りないので、「現金及び現金同等物」の残高を充てているのが分かります。