自宅で学ぶ決算分析

自分で会社の決算分析ができるようになるブログです。

決算分析の事例⑲楽天グループ P/Lも厳しいけど、B/Sも厳しい決算

 楽天グループの2023年1月1日から9月30日の第3四半期の決算について紹介します。楽天グループは、12月31日が決算日なので、第3四半期末は9月30日です。

 まずは、損益計算書上の「売上収益」(「売上高」)と各種損益は以下の通りです。

 「売上収益」(「売上高」)は増えていますが、各種損益は赤字です。

 次に資産合計等、貸借対照表項目については以下の通りです。

 この表で、「(利益剰余金)」は、「資本」の内訳項目なので、カッコを付けています。また、金額がマイナスなので、金額の前に△を付けています。これは、実は、「負債・資本合計」が「資産合計」より大きくなっているので、これを調整するために「利益剰余金」をマイナスで表しているのです。表の一番下の行は、「負債・資本合計」に「利益剰余金」をプラスした金額です。「利益剰余金」のマイナスについては、図で表すと分かりやすくなります。図上は、2023年9月30日の数字です。

 

 損益計算書に損失が計上されると、その分、貸借対照表上の資産が「痩せる」のですが、楽天グループは、4年連続で「当期損失」を計上しているので、ついに左側の「資産合計」が、右側の「負債・資本合計」より小さくなっているのです。この差額を「資本欠損」といいます。つまり、「利益剰余金」のマイナス額は、「資本欠損」の金額であるということです。

 「利益剰余金」の額をマイナスで計上しているのは、スライド上の下から2行目の「負債及び資本合計」を1行目の「資産合計」と名目上一致させるためです。

つまり貸方の出っ張り部分を「利益剰余金」の額をマイナスで計上することによって、「負債及び資本合計」を「資産合計」に名目上一致させているのです。

 この借方と貸方のアンバランスを解消するためには、今後、利益を計上する必要があります。利益が計上されると、その分、借方の資産合計が「厚く」なるからです。しかし、赤字続きなので、アンバランス解消は相当難しいと思われます。

 次に、損益計算書上の損益について売上収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「売上収益」(「売上高」)に対する2行目の「営業損益」の比率は以下の通りです。

 「売上収益」(「売上高」)に対する「営業損失」の割合になるので、△を付けています。「損失率」なので小さい方が良いため、比率が改善していることが分かります。

 次に、「営業収益」(「売上高」)に対する3行目の「税引前損益」の比率を見てみましょう。

 「税引前損失」の比率も改善しています。

 続いて、「営業収益」(「売上高」)に対する4行目の「四半期損益」の比率を見てみましょう。

 「四半期損失」の「営業収益」(「売上高」)に対する比率も改善しています。

 次に、「四半期包括利益」の「自己資本」に対する比率を計算してみましょう。楽天グループは、IFRSで決算しているので、「資本合計」が「自己資本」を示します。

 このように、自己資本に対する「四半期包括損失」の比率も改善しています。

 次に、セグメント別の「売上収益」と「セグメント損益」を見てみましょう。楽天グループは、「インターネットサービス」、「フィンテック」および「モバイル」の3つのセグメントに分けています。

 「モバイル」だけが、売上収益を上回る損失を計上し、その結果、合計も損失となっていることが分かります。