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決算分析の事例 第8回農林中央金庫 日本最大のヘッジファンド  驚愕の増収・減益と営業キャッシュフローの赤字

 農林中央金庫の2022年4月1日~2023年3月31日の本決算について分析してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。

 「経常収益」は大きく増えていますが、「経常費用」も増えているため、各種損益は大きく減っていて、増収・減益です。包括損益は、前期、当期とも「包括損失」が計上されています。「包括損失」の金額が3倍近く増加しています。

 損益計算書上の損益について経常収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「経常収益」に対する2行目の「経常利益」の比率は以下の通りです。

 増収・減益のため、「経常収益」に対する「経常利益」の比率も大きく下落していることが分かります。

 次に、「経常収益」に対する3行目の当期純利益の比率を見てみましょう。

 この比率も大きく下落しています。

 次に純資産に対する包括損失の比率を見てみましょう。

 「包括損失」の比率なので、カッコを付けています。純資産が減る一方で、包括損失が増えているため、比率は大きく上昇しています。

 続いて、「有価証券」、「その他有価証券評価差額金」および「純資産」の金額を見てみましょう。

 「有価証券」の金額は、7兆円以上減り「その他有価証券評価差額金」の金額も1兆4千億円以上減少し、赤字になっています。先ほどもみましたが、「純資産」の金額も減っています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。

 前期は4兆円を超える事業活動によるキャッシュフローの赤字、当期は5兆円を超える赤字です。当期も、投資活動によるキャッシュフローの黒字、つまり投資資産の売却によって得られた資金を営業キャッシュフローの赤字の補填、そして、財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済に充てているのが分かります。特に、当期は投資資産の売却による投資活動によるキャッシュフローの黒字は10兆円を超えています。