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決算分析の事例 第24回農林中央金庫(その2)  日本最大のヘッジファンド  増収・増益と包括損益の赤字

 農林中央金庫の2023年4月1日~2024年3月31日の決算について分析します。

 まずは、損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。

 「経常収益」は増えており、各種損益も増えていて、増収・増益です。一方、包括利益計算書上の「包括損益」は赤字ですが、その額は減っています。

 損益計算書上の損益について経常収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「経常収益」に対する2行目の「経常利益」の比率は以下の通りです。

 増収・増益で、「経常収益」に対する「経常利益」の比率も上昇していることが分かります。

 次に、「経常収益」に対する3行目の当年度純利益の比率を見てみましょう。

 この比率は下落しています。

 続いて、貸借対照表上の「有価証券」、「その他有価証券評価差額金」、純資産を見てみましょう。

 「有価証券」の額が4兆円以上増え、「その他有価証券評価差額金」のマイナスも大きくなっている一方、純資産が減っています。

 次に純資産に対する包括損失の比率を見てみましょう。包括損失とは、下図にあるように、期首と比べた期末の純資産の減少額です。

 そこで、包括損失については、売上高に対する比率ではなく、純資産に対する比率を計算します。

 「包括損失」の比率なので、カッコを付けています。包括損失は減っていますが、純資産も減っているので、比率は悪化しています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。次の表は、各活動によるキャッシュフローの組合せと企業の状況を表しています。

 農林中央金庫の各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。

 前期は、事業活動によるキャッシュフローの赤字と財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済を、投資活動によるキャッシュフローの黒字、つまり、投資資産の売却による資金で埋めています。余った分については、「現金及び現金同等物」の残高が増えています。

 当期は、事業活動によるキャッシュフローの赤字、投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大と、財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済について、「現金及び現金同等物」の残高を充てているのが分かります。