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決算分析の事例 第25回かんぽ生命保険  増収・増益と減益、包括利益の激増、多額の営業CFの赤字

 かんぽ生命保険の2023年4月1日~2024年3月31日の決算について分析します。

 まずは、損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。

 「経常収益」は増えており、経常利益は増えていますが、当期純利益は少しへっています。ほぼ、増収・増益です。一方、包括利益計算書上の包括利益は激増しています。

 損益計算書上の損益について経常収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「経常収益」に対する2行目の「経常利益」の比率は以下の通りです。

 増収・増益で、「経常収益」に対する「経常利益」の比率も上昇していることが分かります。

 次に、「経常収益」に対する3行目の当期純利益の比率を見てみましょう。

 この比率は、増収・減益なので下落しています。

 次に純資産に対する包括利益の比率を見てみましょう。包括利益とは、下図にあるように、期首と比べた期末の純資産の増加額です。

 そこで、包括利益については、売上高に対する比率ではなく、純資産に対する比率を計算します。

 包括利益自体、激増していますし、比率も上昇しています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。次の表は、各活動によるキャッシュフローの組合せと企業の状況を表しています。

 かんぽ生命保険の各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。

 前期は、営業活動によるキャッシュフローの赤字と財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済を、投資活動によるキャッシュフローの黒字、つまり、投資資産の売却による資金で埋めています。余った分については、「現金及び現金同等物」の残高が増えています。

 当期は、営業活動によるキャッシュフローの赤字を投資活動によるキャッシュフローの黒字と、財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の増加だけでは埋められないので、「現金及び現金同等物」の残高を充てているのが分かります。