自宅で学ぶ決算分析

自分で会社の決算分析ができるようになるブログです。

決算分析の事例 第16回サッポロビールホールディングス 増収と一部の赤字、でも営業キャッシュフローは黒字

 サッポロビールホールディングスの2023年1月1日~2023年6月30日の第2四半期決算について分析してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「売上収益」と各種損益は以下の通りです。サッポロビールホールディングスは、IFRSで決算しています。

 「売上収益」が増えていて、「売上総利益」は増えています。「事業損益」は黒字に転じていますが、「営業損益」と「四半期損益」の赤字は拡大しています。包括損益は、黒字が拡大しています。

 損益計算書上の損益について売上収益に対する比率で見てみましょう。1行目の「売上収益」に対する2行目の「売上総利益」の比率は以下の通りです。

 「売上収益」に対する「売上総利益」の比率は上昇していることが分かります。

 次に、「売上収益」に対する3行目の事業利益の比率を見てみましょう。IFRS決算の会社は、通常は、この事業利益は、IFRS決算の会社は算定・公表していません。この事業利益とは、「売上収益」から売上原価と販売費及び一般管理費を引いて算定されます。すなわち、日本基準による「営業損益」に相当します。したがって、日本基準による決算の企業の営業損益と比較する場合、この事業利益と比較する必要があります。

 ちなみに、IFRS決算の会社も「営業損益」を算定・公表していますが、IFRS決算の会社の「営業損益」は、日本基準による「営業損益」とはその内容が異なるので、比較しても意味がありません。

 「売上収益」に対する事業損益の比率は、以下の通りです。

 前期は、損失の比率なので、カッコを付けています。当期は黒字なのでカッコを付していません。

 続いて、「売上収益」に対するIFRS決算の営業損失の比率を見てみましょう。

 IFRS決算の営業損失が拡大しているので、この比率は上昇しています。

 続いて、四半期損失の比率を見てみましょう。

 この比率も下落しています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。次の表は、各活動によるキャッシュフローの組合せと企業の状況を表しています。

 サッポロビールホールディングスの各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。

 損益については、一部、赤字でしたが、営業キャッシュフローは黒字が拡大しています。

 前期は、営業活動によるキャッシュフローの黒字と財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の増大により、投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大に充てています。足りない分は、「現金及び現金同等物の残高」を充てています。

 当期は、営業活動によるキャッシュフローの黒字と財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の増大による資金を投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大に充てているのが分かります。余剰については、「現金及び現金同等物の残高」が増大しています。

決算分析の事例 第15回農林中央金庫  日本最大のヘッジファンド  減収・増益と包括損益の赤字

 農林中央金庫の2023年4月1日~2023年6月30日の第1四半期決算について分析してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。

 「経常収益」は減っていますが、各種損益は増えていて、減収・増益です。損益計算書上は、減益とはいえ黒字です。一方、包括利益計算書上の包括損益は、前期、当期とも「包括損失」が計上されています。

 損益計算書上の損益について経常収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「経常収益」に対する2行目の「経常利益」の比率は以下の通りです。

 減収・増益のため、「経常収益」に対する「経常利益」の比率は大きく上昇していることが分かります。

 次に、「経常収益」に対する3行目の四半期純利益の比率を見てみましょう。

 この比率も大きく上昇しています。

 続いて、貸借対照表上の「有価証券」、「その他有価証券評価差額金」、純資産を見てみましょう。

 「有価証券」の額が8億円近く増え、「その他有価証券評価差額金」のマイナスも大きくなっている一方、純資産が減っています。

 次に純資産に対する包括損失の比率を見てみましょう。包括損益とは、下図にあるように、期首と期末の純資産の増減額です。

 そこで、包括損益については、売上高に対する比率ではなく、純資産に対する比率を計算します。

 「包括損失」の比率なので、カッコを付けています。純資産が減る一方で、包括損失も減っているため、比率は大きく下落しています。

決算分析の事例 第14回ソフトバンクグループ 減収と赤字の減少および営業活動によるキャッシュフローの赤字

 ソフトバンクグループの2023年4月1日~2023年6月30日の第1四半期決算について分析してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「売上高」と各種損益は以下の通りです。ソフトバンクグループは、IFRSで決算しています。

 「売上高」が減っていますが、各種損失は減っています。

 損益計算書上の「四半期損失」について「売上高」に対する比率で見てみましょう。

 「売上高」に対する「四半期損失」の比率は下落していることが分かります。次に、各種損益計算書項目と資本合計を見てみましょう。

 「持株会社投資事業からの投資損益」は、前期黒字でしたが、今回は赤字です。「SVF事業からの投資損益」以下の3つの項目の赤字は縮小しています。四半期包括損益は、前期赤字でしたが、当期は黒字です。

 「資本合計」に対する「SVF事業からの投資損失」の比率は、以下の通りです。

 前期の3割近い損失が、比率で見ても当期は相当減っていることが分かります。

 続いて、「資本合計」に対する四半期包括損益の比率を見てみましょう。

 

 前期は、損失だったので△を付けています。当期は四半期包括利益率となっています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。次の表は、各活動によるキャッシュフローの組合せと企業の状況を表しています。

 ソフトバンクグループの各活動からのキャッシュフローは以下の通りです。

 前期は、営業活動によるキャッシュフローの黒字、投資活動によるキャッシュフローの黒字、つまり、投資資産の売却による資金、財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の増大による資金を「現金及び現金同等物の残高」の増額に充てています。

 当期は、財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の増大をを営業活動によるキャッシュフローの赤字と投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大に充てているのが分かります。

決算分析の事例 第13回良品計画 増収と一部の減益

  良品計画の2022年9月1日から2023年5月31日の第3四半期の決算について紹介してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「営業収益」(「売上高」)と各種損益等および純資産は以下の通りです。

 「営業収益」(「売上高」)と「売上総利益」は増えていますが、「営業利益」、「四半期純利益」および「四半期包括利益」が減っています。

 損益計算書上の損益について営業収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「営業収益」(「売上高」)に対する2行目の「売上総利益」の比率は以下の通りです。

 金額は増えていますが、比率は悪化していることが分かります。

 次に、「営業収益」(「売上高」)に対する3行目の「営業利益」の比率を見てみましょう。

 「営業利益」の「営業収益」(「売上高」)に対する比率も減少しています。

 続いて、「営業収益」(「売上高」)に対する4行目の「四半期純利益」の比率を見てみましょう。

 「四半期純利益」の「営業収益」(「売上高」)に対する比率も悪化しています。

 次に、「四半期包括利益」の「純資産」に対する比率を計算してみましょう。

 純資産に対する「四半期包括利益」の比率も悪化しています。

 セグメント別の「営業収益」を見てみましょう。良品計画は、4つのセグメントに分けています。

 「営業収益」は、各セグメントとも増加しています。次に「セグメント損益」を見てみましょう。

 「国内事業」だけが大きく下げていることが分かります。

決算分析の事例 第12回ファーストリテーリング 増収と一部の売上高利益率の低下

    ファーストリテイリングの2022年9月1日から2023年5月31日の第3四半期の決算について紹介してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「営業収益」(「売上高」)と各種損益等および資本合計は以下の通りです。

 「営業収益」(「売上高」)「売上総利益」、「営業利益」、「四半期利益」は増えており、増収・増益です。しかし、「その他の包括利益」が減っているため、「四半期包括利益」は減っています。

 損益計算書上の損益について営業収益に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「営業収益」(「売上高」)に対する2行目の「売上総利益」の比率は以下の通りです。

 比率は悪化していることが分かります。

 次に、「営業収益」(「売上高」)に対する3行目の「営業利益」の比率を見てみましょう。 

 「営業利益」の「営業収益」(「売上高」)に対する比率は僅かながら上昇しています。

 続いて、「営業収益」(「売上高」)に対する4行目の「四半期利益」の比率を見てみましょう。

 「四半期利益」の「営業収益」(「売上高」)に対する比率は悪化しています。

 次に、「四半期包括利益」の「自己資本」(資本合計)に対する比率を計算してみましょう。

 自己資本に対する「四半期包括利益」の比率も悪化しています。

 セグメント別の「セグメント営業収益」を見てみましょう。ファーストリテイリングは、4つのセグメントに分けています。

 「セグメント営業収益」は、各セグメントとも増加しています。次に「セグメント営業損益」を見てみましょう。

 「国内ユニクロ事業」は、セグメント営業収益は増えていますが、セグメント営業損益が下がっていることが分かります。

 次に、ファーストリテイリングの地域別セグメント情報を見てみましょう。

 

 数字は各地域とも増えていますが、日本とグレーターチャイナの構成比が下がり、韓国・東南アジア・インド・豪州と北米・欧州の比率が上がっています。




 

 

 

決算分析の事例 第11回みずほフィナンシャルグループ 米国基準による赤字と日本基準による増収・増益

 みずほフィナンシャルグループの2022年4月1日~2023年3月31日の米国基準と日本基準による本決算について分析してみたいと思います。

 まずは、米国基準による損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。

 「経常収益」は増えていますが、左の期間は、税金等調整前当期純損益、当社株主に帰属する当期純損益は赤字です。右の期間は、税金等調整前当期純損益は黒字ですが、当社株主に帰属する当期純損益は赤字です。

 次に、日本基準による損益計算書上の「経常収益」と各種損益は以下の通りです。

 「経常収益」も各種損益も増えていて、「増収・増益」です。

 日本基準による損益計算書上の損益について経常収益する比率を見てみましょう。1行目の「経常収益」に対する2行目の「税金等調整前当期純利益」の比率は以下の通りです。

 「経常収益」も「税金等調整前当期純利益」も額は増えていますが、それらの比率は減少していることが分かります。

 次に、「経常収益」に対する3行目の「当社株主に帰属する当期純利益」の比率を見てみましょう。

 この比率も減少しています。

 続いて、貸借対照表上の「有価証券」、「その他有価証券評価差額金」および「純資産」を見てみましょう。

 「有価証券」が7兆円以上減り、「有価証券評価差額金」も千5百億円ほど減っています。しかし、「純資産」は少し増えています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。

 営業キャッシュフローは、前期に比べて当期は激増しています。前期は、営業活動によるキャッシュフローを投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大と、財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済に充て、残額分は「現金及び現金同等物の残高」が増加しているのが分かります。

 当期は、営業キャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの黒字、つまり投資の売却で得た資金を財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済に充て、残額分は「現金及び現金同等物の残高」が大幅に増えているのが分かります。

決算分析の事例 第10回モスフードサービス 増収と極端な減益

   モスフードサービスの2022年4月1日~2023年3月31日の本決算について分析してみたいと思います。

 まずは、損益計算書上の「営業収益」と各種損益は以下の通りです。

 「営業収益」が増え、売上総利益は増えていますが、営業利益、経常利益は減り、当期純損益は赤字です。包括利益も減っています。

 損益計算書上の損益について営業収益する比率を見てみましょう。1行目の「営業」に対する2行目の「売上総利益」の比率は以下の通りです。

 「営業収益」も「売上総利益」も額は増えていますが、それらの比率は減少していることが分かります。

 次に、「営業収益」に対する3行目の「営業利益」の比率を見てみましょう。

 この比率は極端に減少しています。

 続いて、「営業収益」に対する4行目の「経常利益」の比率を見てみましょう。

 この比率も極端に減少しています。

 さらに、「営業収益」に対する5行目の「当期純損益」の比率を見てみましょう。

 右の期間は「当期純損益」が赤字なので、カッコを付けています。

 次に純資産に対する包括利益の比率を見てみましょう。

 「包括利益」は、上のスライドにあるように、期首の純資産額に対する期末の純資産額の「増し分」を意味します。そこで、分母には「営業収益」ではなく、「純資産額」を使います。

 純資産に対する包括利益の比率も大幅に減少しています。

 次に、キャッシュフロー計算書を見てみましょう。

 営業キャッシュフローは、前期に比べて当期は激減しています。前期は、営業活動によるキャッシュフローを投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大と、財務活動によるキャッシュフローの赤字、つまり借金の返済に充て、足りない分は「現金及び現金同等物の残高」で行っているのが分かります。

 当期は、営業キャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローの黒字、つまり借金の拡大で得た資金を投資活動によるキャッシュフローの赤字、つまりビジネスの拡大に振り向け、足りない分は「現金及び現金同等物の残高」で行っているのが分かります。